「やさしいイベント・講座」って
社会には、イベントや講座など、学んだり体験したりできる機会に対し、「参加したいけど参加しづらい…」と感じている方が多くいらっしゃいます。
例えば…
・耳が聞こえづらく、講師の声が届きづらい人
・目が見えにくく、資料や会場の情報が見づらい人
・文字の読み書きに時間がかかる人
・言語の壁があり、話や資料が理解しづらい人
など、こうしたすべての方々が気持ちよく学び、安心して参加できる環境を整えるために
このページでは、やさしいイベント・講座のつくり方のヒントをお伝えします。
今後のイベント企画・運営に、お役立ていただければ幸いです。

目次
やさしいイベントの工夫とは ~合理的配慮から考える~
合理的配慮とは
障がいをお持ちの方や外国籍の方など、日常生活や社会生活で提供されるサービスや設備に制限がある方々の障壁を取り除き、
それぞれの特性に合わせた配慮を行うことを「合理的配慮」といいます。
これは、営利・非営利・個人・法人・団体など問わずにイベントや講座、セミナーを行う際にも配慮が義務化されており、
イベント等を主催する人は、意思表示をされたときには負担が過重でない範囲で対応していくことが必要です。
以下では、具体的にはどんな対応が必要なのか、イベント開催時の配慮のポイントをご紹介します。
イベント主催者が知っておきたい配慮のポイント
イベントや講座を企画する際には、参加者との「対話」が重要です。
支援の必要性や事情は、人それぞれ異なり、最も理解しているのは、当事者自身です。
だからこそ、直接話を聞き、意見を尊重することが大切です。
解決策をともに検討し、歩み寄る姿勢を持つことが、誰もが参加しやすい環境づくりにつながります。
わからないことや不安な点があれば、本人に確認しながら、
以下の3つの配慮ポイントを意識しながら、だれもが参加しやすいイベントづくりの参考にしてみてください。
配慮の3つのポイント
イベントや講座を行う際に配慮すべきポイントは、以下の3つです。
①会場づくりでの配慮
②資料づくりでの配慮
③雰囲気づくりでの配慮
当日の対応だけでなく、会場選びからチラシ・資料づくりなど、さまざまな配慮が求められます。
以下で、それぞれの配慮ポイント例を紹介しますので、できるところから少しずつ取り入れてみてください。
ポイント1:会場づくりでの配慮例
【会場の手配】
☐バリアフリートイレや障害者用駐車場があるか確認
☐車椅子でのアクセスを確認
☐必要に応じて別室やオンライン対応を準備
(会場に来れない方への配慮も必要です)
【会場案内・当日の設営】
☐事前に会場情報を参加者へ共有
☐座席配置やグループ編成は、声が聞き取りやすく、全員が見やすい形に調整
(座席については、事前にご希望をお伺いしておくと、より快適にお過ごしいただけます)
☐誘導表示や休憩スペースを確保し、換気・音響を事前確認

例えば、エレベーターのない会場では、車いすをご利用の方が参加できないなどの障壁が生じるため、どなたでも安心してご来場いただける場所を選ぶことが大切です。
ポイント2:資料づくりでの配慮例
【配布時期】
☐事前の読み込みや、通訳者との共有に必要な期間を確認
(目の不自由な方には、事前に資料を読み上げ可能な形式に変換する対応が必要です)
【デザイン・スタイル】
☐読みやすいフォント・デザインを使用し、ページ番号を記載
(UDフォントなど)
☐情報を詰め込みすぎず、ルビをふるなど工夫
(外国籍の方には、ふりがなを入れる、やさしい日本語を使うなどの対応が必要です)
☐PCトーカーや読み上げソフトへの対応を確認
(ご高齢の方や目の不自由な方の中には、専用の音声読み上げソフトを使用されている方もいらっしゃいます)
【イラスト・図表・アニメーション】
☐理解を助ける場合と妨げる場合があることを考慮して使用

資料などに画像を使用する場合は、専用ソフトで読み込めない場合もあります。キャプションを付けるなどの対応を検討しましょう。
ポイント3:雰囲気づくりでの配慮例
【講師の話し方】
☐「平易・簡潔・短文・ゆっくり」を意識し、話の進行を明確にする
【休憩】
☐休憩時間は長めに確保
(移動に時間を要する方もいらっしゃいます)
【発言の工夫】
☐名前を言ってから発言し、早口にならないよう意識
(お話の理解に時間を要する方もいらっしゃいます)
☐進行役が参加者に対しても、「平易・簡潔・短文・ゆっくり」の話し方を促す
【演習テーマの可視化】
☐ホワイトボードや模造紙を活用し、話の内容を共有
【雰囲気づくり】
☐遠慮なく相談できる環境を整え、余裕のある進行を心がける
(講座などの合間に、質問があるかどうかを促すことも大切です)
☐途中退席や機器の警告音などを事前に案内
(目の不自由な方は、急に大きな音がすると驚かれることがあります)
☐「もう一度」「ゆっくり話してください」などの意思表示カードを用意

目の不自由な方には、進行の際に、どの色の服を着た人がどこに立ち、どのような様子で話しているかといった状況を伝えることも大切です。
◆当事者との「対話」具体例


対話を重ねながら、実現可能な対応案を一緒に検討することが必要ですね。
引用:「障害のある人との研修を企画運営する上での合理的配慮」/厚生労働省
明日から使える役立つ情報・リンク集
かんたんに使えるアプリやサービス、また明石市の制度などを紹介します。
1.明石市の支援制度(補助金、相談窓口)
意思疎通支援者(手話通訳者・要約筆記者)派遣申請/明石市
手話通訳や要約筆記を希望する場合、申請手続きを行うことで通訳者を派遣してもらうことができます
バリアフリーに関する補助制度等/明石市
バリアフリー化に必要な費用の助成や、相談ができる窓口が設けられています
引用:明石市ホームページ
2. 配慮に役立つツールやサービス(アプリ、UDフォントなど)
UDトーク
講座・会話等を音声認識し、自動でリアルタイム文字起こしできるアプリ(聴覚障がい者向け)
音声コードUni-Voice
レジュメなどWordで作成した文字情報を専用アプリで読み込むと音声読み上げができる二次元コードにできるソフト(視覚障がい者向け)
地域生活支援事業(明石市)
明石市が提供している支援事業がまとまったページです。
UDフォント
ユニバーサルデザインのコンセプトに基づいて作成された、誰にとっても読みやすく、わかりやすいフォントのこと
「BIZ UDフォント(Windows11標準インストールフォント)」
引用:「UDトーク」/Shamrock Records株式会社、 「音声コードUni-Voice」/特定非営利活動法人 日本視覚障がい情報普及支援協会(JAVIS)
◆例:手話通訳/字幕導入
手話通訳や字幕をつけることで、耳が聞こえない方や目が見えない方にも、より多くの方に動画での学びを楽しんでいただくことができます
※YouTubeでは動画投稿後に自動字幕を付けることができます。
など
すべてを完璧に取り入れる必要はありません。できることから少しずつ始めてみてください。
その小さな配慮が、誰かの「やってみたい」「学んでみたい」を叶えるきっかけになります。
「誰もが等しく学べるための」インクルーシブ学習用ページはこちら